
- 回答: 40歳以上の女性に対してマンモグラフィ検診を行うことにより、乳がんによる死亡の危険性を減らすことが証明されています。また、マンモグラフィに加えて超音波を用いた検診の試みも始まっています。
- 解説:
≪日本人の乳がんの状況≫
乳がんは年々増加し女性のがんの1位であり、40歳代後半が最多です。
≪自己検診について≫
乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つです。1ヶ月に1回は行ってください。
≪マンモグラフィ検診について≫
(1)対象者:40歳以上
(2)マンモグラフィの撮影方法:板と板の間に乳房を引き出して圧迫します。多くの人は、我慢できる程度ですが、痛みには個人差がありますので、我慢できなければ遠慮なく撮影技師に伝えてください。
≪超音波検診について≫
閉経前で乳腺密度が高い人は、マンモグラフィでがんを見つけにくく、超音波検査が役に立つことがあります。本当の有効性については全国的な研究を進めているところです。
- コメント: 検診は見逃しや余計な精密検査が少ないのが理想ですが、検診の限界も理解しておくことが重要です。検診で異常なしでも定期的に自己検診を行い、異常を感じたら医療機関を受診してください。
- 回答:はじめに問診、視触診、マンモグラフィ、超音波検査が行われ、必要な場合にCT、MRI、細胞診、組織診などが行われます。
乳房にしこりを感じる原因としては、乳がん、乳腺の良性腫瘍、乳腺症、皮下脂肪のかたまり、皮膚腫瘍などがあります。乳がんと一部の良性腫瘍以外は治療の必要はほとんどありませんので、いくつかの検査を使ってしこりが何であるかを診断していきます。
- 解説:
≪問診≫月経の状況、授乳経験、家族でがんにかかった方の有無、しこりの変化など聞かれます。月経周期によって大きさや硬さが変わる場合は乳がんと無関係のことが多いです。
≪視触診≫乳房を直接触ります。がんは硬く、境目がはっきりしないことが多いです。
≪細胞診、組織診(針生検)など≫画像診断で良悪性の判断がつかないとき、がんを疑った時に行います。(詳細はQ8)
- コメント: マンモグラフィ、超音波についてはQ5を参照してください。CT、MRIは乳がんの診断後、広がりの確認のために行うことが多いです。撮影時には造影剤を使用します。
- 回答:乳腺症の大部分と乳腺炎や乳腺線維腺腫は、乳がんとは関係のない良性の病変です。
- 解説:
≪乳腺症≫30~40代女性に多い。症状は、硬結、疼痛、乳頭分泌などです。卵巣から分泌される女性ホルモンが関わっており、月経前に増悪、月経後に軽減し、閉経後は自然に消失します。
≪乳腺炎≫乳汁鬱滞や細菌感染により起こり、赤く腫れたり、痛み、膿、しこりが見られます。乳腺炎は乳がん発病とは無関係です。
≪乳腺線維腺腫≫乳腺の良性腫瘍で10~40代に多いです。ころころとしたよく動くしこりです。乳がんとは無関係です。
≪その他≫葉状腫瘍はほとんど良性ですが、悪性のものもあります。治療の原則は腫瘍切除です。
- コメント: 以下の場合は病院を受診してください。
月経と無関係のしこり、血性の乳頭分泌、疼痛がないのに赤く腫れている。
→乳がんの可能性があります。きちんと検査をうけましょう。
- 回答:穿刺吸引細胞診、針生検は、乳がんの診断を確定するための検査です。ただし、特に穿刺吸引細胞診では他の検査結果と合わせた総合判断が必要です。
- 解説:
≪穿刺吸引細胞診≫
病変部に直接細い針を刺して、注射器で細胞を吸い出します。検査時間は準備を含めて10分程度で簡便な検査です。採取される細胞が少ないので診断には限界があり、確定診断できない場合があります。
≪針生検≫
細胞診よりやや太めの針で、局所麻酔をかけて行います。超音波でしこりが分かる場合は、超音波で確認しながら行います。超音波で分からない場合(マンモグラフィで石灰化所見のみ)では、マンモグラフィで確認しながらおこなうステレオガイド下マンモトーム生検で組織を採取して診断します。
合併症として血腫(血のかたまり)ができることがありますが、多くは自然に吸収されます。
- コメント: 細胞診や針生検は、患者さんの乳房から採取した細胞や組織を顕微鏡で観察して、がん細胞を直接確認する検査方法です。